日英比較の結果、思ったことである。
地方交付税で2150億円(2005年)のICT関連予算が積算されながら、校内LAN整備率50%?、教室に固定されたプロジェクタはなく、ノートパソコンは私物、コンテンツを探すのは面倒で、コンテンツやソフトウェアを買う予算もほとんどない。サポート体制もないに等しく、情報教育の担当になってしまうと、サーバの管理やコンピュータのメンテナンスなんて仕事もふってくる。
ICTに限らず、1クラス30人以上は当たり前、ティーチングアシスタントはいるわけもなく、給食に掃除に登下校の指導までやらなければならない。
この悪条件下で、ICTを活用してきたのだから、これは立派としかいいようがない。しかも、先進事例を開発し、その成果をまとめて研究会で発表し、研修会講師を務め、研究プロジェクトへの参加を要請される。やればやるほど、仕事が増えていく仕組みになっている。(だいたい、日本の情報教育はトップダウンではなく、ボトムアップでな進んできたんだよなぁ)
私自身、「教育の情報化の普及」などと言って取り組んできたわけだが、英国の実態を知れば知るほど、この悪条件の下でやってくださいというのが所詮、無理な話であると思うようになってきた。日本の教育情報化政策はいまのところ、失敗と言えるでしょう。
みんなが思っていることだろうけど、最低でもこうした条件が整えられなければ普及はあり得ない(IT新改革戦略に基づく「重点計画—2006」の方針も同じようだけど、遅すぎたね)。英国では、とっくに実現しているのに。
○すべての教室にネットワーク、プロジェクタ
※IWBはいらないと思う(おそらくほとんどの先生は充分に使いこなせず、無駄な投資になる。必要な人だけ自分の教室に設置すればいい)。黒板にマグネットスクリーンというのは、日本の授業文化?から生まれた素晴らしい道具だと思うけど、日本が最初かどうかは知らない。
○教師用ノートパソコン(タブレットPC?)
○教科書の内容(本当は指導要領の目標だろうけど)に即したコンテンツの提供(まあ、これはデジタル教科書でもいいかもしれない)
○技術サポート(最低でも、地域巡回サポートが必要だと思う)
これらが整うまでは、せめてICTを積極的に活用している先生たちを優遇する仕組みが欲しい。
まあ、ここまでは政策的にどうにかしてもらわないと何ともならないことだけど、問題は、その先のICT活用による授業改善の実現であろう。日英では、授業に対する考え方が異なるので比較は難しいが、私は日本の方がよく吟味されたICT活用の事例を豊富に蓄積してきたのではないかと思っている(こんなこと書くと問題かもしれないが、英国のICT活用は普及には成功しているけど、お手軽でパターン化しているように思える)。good practice の知見をうまく流通させ、良質のコンテンツと適切な活用方法をセットで普及させたいものである。