2006年07月16日

ITTEの大会で学んだこと

 ITTE=Association for Information Technology in Teacher Education 
 うまく訳せないのだが、直訳すると教師教育における情報技術学会となるだろうか。教員養成、現職教育でのICT活用と、ICT教育のための教師教育をカバーしている。学会への参加は、大学等の組織ごとの登録が基本となっており、英国内の約60組織が参加しているとのことだった。今回は、私もBrighton大学に所属していることにしてもらったので、参加費がだいぶ安くなった。
 今回のテーマは、Sharing Innovation。
 基調講演は3つ行われ、Sharing Innovationに関する研究者の講演、AppleのiLifeの教育分野での活用に関する講演、Specialist School の元締め?であるThe Specialist Schools and Academies Trust (http://www.specialistschools.org.uk/)による中等学校でのICT活用と学力向上に関する講演だった。
 さらに、招待講演?として、教育用機器?の会社であるRM (http://www.rm.com/)のIWB教員研修パッケージに関する発表、中等学校の校舎(学校全体の学習環境)の改革を進めているPartnership for School (http://www.p4s.org.uk/)による発表、一番おもしろかったOfstedのICT教育の評価状況に関する発表もあった。
 参加者は、教員養成でICTを担当している大学関係者がほとんどであったが、政府関連機関のOfstedやTDA、Becta、その他、RMやSofteaseといった企業の参加もあり、英国内のICT教育に関する情報がかなり集まっているように感じた。
 通常の発表は20分発表+5分質疑で、招待講演は35分、基調講演は1時間だった。
 内容は様々なだったが、全体としては、IWB(インタラクティブホワイトボード)に関する発表が多かった。これらの発表を聞くと、IWBの活用はほぼ定着しており、ある発表では、小学校でも41%の教師が1日に1回は授業で活用しているとのことだった(使ったことがない教師は1.1%)。教育実習において、IWBを活用した経験がある実習生は80%以上おり、大学でのトレーニングが追いついていない(52%の実習生が大学の講義で活用について学んでいる)という報告もあった。実習生も教師も、IWBの活用について役に立つと考えており(約95%)、使い方も簡単である(約76%)と回答している。教材は、NLSやNNS(ナショナルストラテジー)からダウンロードしているケースは30%程度と低く、SmartNoteBook(73%)やPPT(52%)を利用しているケースが多いようである。
 Ofstedの報告でも、小学校での導入と活用はほぼ定着しているとのことだった。また、学習が困難な子どもたちの学力向上に寄与しているという分析もあった。ただ、いくつかの発表で指摘されていたが、Interactiveな機能を有効に活用しているかどうかについては疑問であり、単にプロジェクタの投影に使われているだけのケースもかなりあるとのことであった。また、活用はしているものの効果的な活用かどうかが充分に吟味されていないのではないかというコメントもあった。
 Ofstedの報告でおもしろかったのは、教科としてのICTの実践では、QCAのスキーム・オブ・ワーク(http://www.standards.dfes.gov.uk/schemes3/)が浸透していると評価する一方、CreativeなICT活用が欠けているという指摘をしたことである。「国がスキーム・オブ・ワークのような細かい指導計画を示していることが、結果としてCreativeなICT活用を妨げているのではないか」という質問には、苦笑いするしかないようだった。また、中等学校でのICT担当者のICTスキルにかなり差があり、ICTという教科の中で、新しいテクノロジーを導入するための現職教育の難しさも指摘された。日本でも教科「情報」の担当者のスキルアップ(知識も含めて)を継続して行わなければ(設備の更新も必要だけど)、学習内容が陳腐化するのは目に見えている。
 普及という点では、日本とは比較にならないくらい英国における情報環境整備は進んでいるが、実践レベルでの課題は多いようだ。日本でも教育の情報化はトップダウンで行うしかないと考えていたが、その方法については吟味が必要ですね。
 学会発表を聞いていると、やはり中等学校の改革が大きな課題になっているようだ。IWBに続いては、タブレットPCの導入とワイヤレス化が流れであり、学習の一層の個別化を徹底するためにVLEの活用と合わせて行おうという方向性のようだ(今回はmoodleというのがよくでてきた、http://moodle.org/)。技術についていくのは、なかなか大変だ。

Posted by nonaka at 2006年07月16日 01:00
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